福島県と山形県とを結ぶ国道399号線は、一年のうち冬場の半年あまりが通行止めとなっている(開通日は若干変化する)。
冬季通行止め区間は沿道の住民が少なく、除雪費用に見合う利用度を見てか、狭い崖沿いの道を雪深い冬に往来するのは危険を伴うと考えてなのかも知れない。
宮城県稲子集落のみは、七ヶ宿側から行けるようにはなっている。
2015年5月24日。
冬季通行止の国道399号線が全面開通。
早速新緑の鳩峰高原を巡ってきた。
茂庭方面をめぐるにあたり、まず紹介したいのは滝野地区の滑滝である…。
夏には親子連れが水遊びを楽しむ、自然の滑り台だ。
滑滝
http://www.juno.dti.ne.jp/~mixpink/spot_folder/moniwa_nametaki/moniwa_nametaki.html
2016年5月20日放送のNHK−BS「にっぽん縦断 こころ旅」でも、福島県福島市飯坂町「金沢春子さんのこころの風景」として紹介されていた。
“滑滝”の岩場の風景
http://www.nhk.or.jp/kokorotabi/route_2016spring/20160520/index.html
だが、昔「太陽にほえろ」で、「ゴリさん」こと石塚刑事が、格闘の末に容疑者を捕らえたのがこの滑滝であることは案外知られていない…。
話は飛ぶけど、福島市松川には「金水晶」という造り酒屋があり、二本松市にも数軒の酒造元があるが、福島県中通りでは「金水晶」以北には酒蔵がない。
福島の地酒 金水晶酒造店/福島市・日本酒
http://www.kinsuisho.com
伊達郡桑折町にも二軒の酒蔵があった。
ゴリさんは捜査のために福島県を訪れ、三輪駅(JR伊達駅)で降りて、駅前の旅館(名忘れ)で聞き込みをした後、桑折町の酒蔵のひとつを訪れた。
伊達駅前でロケがあった日、体育の授業で膝を強打していたが、激痛を我慢し、母には「医者に行く」と言って見物に出かけた。
当時の私は、膝の痛みよりもゴリさんであった…。
ウソがバレて大目玉を食らった翌日、大山外科へ行き、レントゲン写真を撮ったら、お皿にヒビが入っていて即座にグルグル巻の石膏ギブスで完全固定されたのだった。
摺上川の川辺でゴリさんが容疑者を取り押さえるシーンを、当時はビデオデッキがなかったから、テレビの音声をマイクで拾ってラジカセのテープに録音し、繰り返し聴いたものだった。
桑折町の酒蔵はもうない。
旧伊達町の田町付近にも一軒の造り酒屋があったと年寄りたちは言う…。
12時20分、国道399号線から少し分かれて、摺上川ダムの下に寄ってみた。
威圧感がある。
ダムについては【第四回】に記してある。
【第四回】茂庭・摺上川ダムの猿たち
http://onotoshiaki.blogspot.jp/2013/10/blog-post_25.html
至る所で車一台がやっと通れる道幅の国道399号線。
福島、宮城、山形の県境が入り組んでいる。
国道399号線の傍、稲子集落の手前には水飲み場の滝があり、年中水が絶えない。
コップを持参すると飲める。
国道399号(名号~稲子)|ふくしま~!
http://www33.tok2.com/home/m35rx4/route399-41nagou.htm
滝は国道の下を潜って摺上川に落ち込んでいる。
稲子集落(「国道399号線 滑滝〜鳩峰高原」地図B)を抜け、細い道を蛇行して走る。
対向車には注意が必要だ。
途中、国道の上に大きな岩が突き出しており、子供の頃は「インデアンの鼻」と呼んでいたが、なくなってしまった…。
鳩峰高原付近では、ヤマツツジが見頃であった。
ヤマツツジ[山躑躅]|みんなの花図鑑
https://minhana.net/wiki/ヤマツツジ
タニウツギの花も混じる。
タニウツギ(ベニウツギ)[谷空木]|みんなの花図鑑
https://minhana.net/wiki/タニウツギ(ベニウツギ)
13時12分、福島と山形の県境、鳩峰高原(「国道399号線 滑滝〜鳩峰高原」地図C)に到着。
道路から少し登ると山形県置賜地方が一望できる。
鳩峰高原|やまがたへの旅
http://yamagatakanko.com/spotdetail/?data_id=148
一人のハイカーが龍ヶ岳に登って行った。
龍ヶ岳と鳩峰高原の観察会①|やまがっこう
http://green.ap.teacup.com/naraha/1448.html
晴れ過ぎていて遠目が効かない…。
蛇行する最上川、遠く朝日連峰は見える。
飯坂温泉から一時間弱で行けるドライブコース。
峠を下ると山形県高畠町。
ブドウマツタケラインを右折し、国道113号線に出、東へ戻るように白石方面に向かった。
沿道の木立には、フジが絡み付いていた。
14時10分、昼餉は山形県高畠町、国道113号線沿いにある熊っ子食堂で「熊っ子ラーメン」だった。
熊っ子食堂
http://www.yway.jp/shop/4071/
その後宮城県に入り、七ヶ宿町で国道113号線から右折し、稲子峠を越えて、稲子集落(「国道399号線 滑滝〜鳩峰高原」地図B)から国道399号線に戻った。
稲子峠については【第二十三回】【第六十五回】に記している。
【第二十三回】雪解けの草花 宮城・七ヶ宿町稲子峠から山形・高畠
http://onotoshiaki.blogspot.jp/2013/10/blog-post_9121.html
【第六十五回】常称寺の枝垂れ桜再び、目覚め始めた山の花々
http://onotoshiaki.blogspot.jp/2016/04/blog-post_9.html
15時15分、摺上川ダム、通称「茂庭っ子ダム」に着いた。
茂庭っ子ダム
http://www.iizaka.com/join/join09/
ダム川となった摺上川は飯坂温泉を抜け、伊達で阿武隈川と合流する。
それからおよそ1年後の2016年5月3日。
茂庭っ子ダムまで出かけてきた。
飯坂温泉のさらに奥、摺上川の上流、茂庭は渓谷の新緑が眩しかった…。
国道399号線の冬季閉鎖の解除は5月20日頃。
立て看板に記されるその日付を確認するのが目的だった。
軽井沢橋より摺上川を見下ろす。
新緑と紅葉の季節が美しい滑滝。
滑滝|飯坂温泉オフィシャルサイト
http://www.iizaka.com/join/join06/shiseki04/
ふくしま市景観100選 16.摺上川の滑滝(なめたき)と周辺の岩肌
http://www.city.fukushima.fukushima.jp/soshiki/43/1415.html
摺上川ダムが迫ってくる。
名号の先は、道幅が狭く大型車両は通行止め。
大型車両がUターンするための広い展開所があり、国道399号線はそこで冬季通行止めになっている。
展開所にはタイヤのスピンマークが表現されていた。
山肌ではヤマツツジが鮮やかだった。
御嶽神社・摺上山神社からダムの対岸に架かる橋の途中まで歩いてみた。
橋から東側を見る。
ダムの奥が飯坂温泉方向、そのさらに先が伊達市である。
水位が下がっていて、2005年9月、ダムの完成とともに水に沈んだ名号地区の痕跡が現れていた。
浮び出た道はかつての国道399号線で両側にU字溝があり、住居跡のような面影も残る。
この辺りは飯坂温泉街から通じる最後のバス停があったところだろう。
深い森の中で林業や炭焼等の山仕事が生活の糧であったようだ。
往時の人々の暮らし振りに思いを馳せる。
昨年他界した伯父は一時この地区の学校で教師をしていたらしい。
幼少の頃、周辺の山へ祖母と山菜採りに来た記憶が残る…。
橋の西側。
右手の沢は、5つ前の滝筋の写真から流れてくる。
この先、沢に架かる橋を超えた後は、狭くて曲がりくねった山道へと続き、福島県と山形県の境の鳩峰峠から高畠町へと下っている。
御嶽神社・摺上川神社は、ダムができる際に、この場所に移築された。
茂庭には大蛇伝説が残る。
第41回 茂庭【もにわ】|ジャパンナレッジ
http://japanknowledge.com/articles/blogjournal/howtoread/entry.html?entryid=50
茂庭は伊達氏の重臣茂庭氏の名字の地とされ、同氏の祖による大蛇退治の伝説がある。それは建久三年(一一九二)斎藤実良が地内の菅(すげ)沼に棲む大蛇を退治して生贄の娘を救い、村人に請われてこの地にとどまり地名を姓にしたというものである(「白鳥大明神縁起」吉井家蔵など)。大蛇を退治する際、日本武尊の化身である白鳥が現れ加勢したといい、中茂庭(なかもにわ)に鎮座する白鳥(しらとり)神社は、茂庭氏が祀ったものと伝える。また、二度と生き返らないよう大蛇を頭・胴・尾の三つに切り、田畑(たばた)・名号(なごう)・梨平(なしだいら)の三ヵ所にそれぞれ埋めたといい、三地区にはいずれも御嶽(みたけ)神社が祀られている。梨平には茂庭氏の墓もあり、住民はいまも同氏を殿様とよんでいるという。
(一部引用)
興味のある方はご一読されたし…。
11時25分、帰りに茂庭ふるさと館に寄った。
もにわの湯や広瀬公園、梨平公園等の施設があり、キャンプやバーベキューが楽しめる。
茂庭の地元産品の食材を入手したり、十割手打ちそばも食べられる。
茂庭ふるさと館|福島市 ふくしまウェブ
http://www.city.fukushima.fukushima.jp/site/shisetsu/shisetu-bunka21.html
福島市飯坂町茂庭地区 摺上川ダム(茂庭っ湖)周辺|NTT東日本 福島支店
http://www.city.fukushima.fukushima.jp/site/shisetsu/shisetu-bunka21.html
2016年5月21日。
前日20日に国道399号線の冬季通行止めが解除となり、鳩峰高原に出かけてきた。
途中、山中に入り、山椒の葉を収穫。
山椒味噌とニシンの山椒漬けを仕込む予定。
稲子集落(「国道399号線 滑滝〜鳩峰高原」地図B)。
右折して稲子峠を越え、国道113号線へ行くルートは年中通じている。
9時40分、鳩峰高原(「国道399号線 滑滝〜鳩峰高原」地図C)に到着。
鳩峰峠から山形県側へ下る道は、道路の補修のため当分通行止めのようだ。
丘を登り、眼下を見下ろす。
曇っているので、残雪の山肌がくっきりと見えた。
北から朝日連峰の大朝日岳(標高1,870m)。
南陽市から米沢市にかけて、山形県置賜地方を一望。
水田に水が入っている。
神々しい…。
飯豊連峰の飯豊山は2,105m。
山形県と新潟県の境にあるが、飯豊山神社に通じる道だけ福島県となっている。
標高2000メートルの盲腸県境と危険すぎる県境
http://portal.nifty.com/kiji/150826194388_1.htm
さっききた摺上川方向。
龍ヶ岳。
工事通行止めのため山形県側へ下りられず、引き返す車が何台かあった。
道路沿いはヤマツツジが花盛り。
タニウツギも負けじと主張する。
ワラビを収穫し、10時45分頃、帰路に着いた。
帰りは稲子集落へ戻り、左折。
稲子峠を越えるルートを選んだ。
この道を通るのは【第六十五回】で紹介した4月9日以来だ。
国道113号線へ出て右折、白石方面に行く。
11時55分、途中「旬の市七ケ宿」に寄った。
展望所から「滑津大滝」を見下ろすことができる。
滑津大滝|七ヶ宿町
http://www.town.shichikashuku.miyagi.jp/sightseeing/view/
昼餉は「旬の市定食」。
山菜そば、舞茸ごはん、うるいと大根の煮物、お新香が付いて630円也。
山菜採りで疲れた後には、ちょうど良い量。
旬の市七ケ宿農林産物直売所|七ヶ宿町
http://www.town.shichikashuku.miyagi.jp/sightseeing/eat/market.html
国見町の県道46号線、小坂峠から見下ろした信達平野。
【第九回】国見・小坂峠と七ヶ宿街道
http://onotoshiaki.blogspot.jp/2013/10/blog-post_5196.html
水田に水が入り、所々で水鏡となっていた…。
おまけ…。
山で摘んできた山椒を山椒味噌に仕立て、冷奴に添え、大和川酒造の純米辛口を汲む。
つまみはこれだけ。
また別の日には、自家製ニシンの山椒漬けと、それを焼いた一品。
焼くと山椒の風味が損なわれるのだけど、そこを香ばしさがフォローする。
どちらも酒が進むこと間違いなし!^^
さらにおまけ…。
福島市より「茂庭の四季」という動画が配信されている。
併せてご覧いただきたい。
茂庭の四季|福島市公式ユーチューブ[ふくしまチャンネル]
https://youtu.be/5W-Ns7Z1u7U
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