【 福 島 の 風 光 】
 郷里である伊達市(旧伊達町)を中心に、風光明媚な福島を紹介します。
伊達市は福島県中通り、県北に位置し、海に山に車で一時間程のロケーション。
吾妻連峰、相馬、会津、宮城県南部、山形県南部が行動範囲。
訪れた地域の食や伝統文化、郷土史にも触れられたらと思います。

2016年5月17日火曜日

【第七十五回】阿武隈山地から見る蔵王の眺望と原釜尾浜の海




 東京都葛飾区を住処としていた頃、伊達に帰省するのは年末年始、ゴールデンウィーク、夏休み、秋の連休とだいたい決まっていた。
 目的地も福島県北部、東は相馬から西は喜多方の範囲に収まっていたので、自然と同じ頃に同じ場所に出かけることが多くなり、定点観測的な風光となっていた。

 2014年5月4日と2015年5月6日は、同じルートを辿って福島県伊達市梁川の阿武隈川沿いを行き、宮城県伊具郡丸森町に入った。
 国道113号線を東へ走って福島県に戻り、相馬郡新地町から相馬市に入る。
 相馬で何か海産物を仕入れた後、帰りは国道115号線を西へ走り、伊達市に戻った。

 今回は双方を合わせて見てみよう。
 なお、2014年の写真には、キャプションの文頭に★を添えることとする。




 阿武隈川右岸から丸森町羽出庭(はでにわ)地区を抜け、段田原峠(だんだわらとうげ)を越え、113号線経由で相馬に行ったのは2014年が初めてだった。
 それまでは国道349号線から、阿武隈川に架かる丸森橋を渡って右岸へ移り、丸森町内を抜けて、113号線経由で相馬へ行っていた。

 115号線で相馬へ行き、113号線で伊達に戻る時もあった。
 地図を見ると、潰れた菱形を形作るルートは時計回りも反時計回りも距離的に大差なく、同じ道を往復するより、行きと帰りで違う風光を目にする方が面白い。




 伊達市梁川町に向けて出立し、阿武隈川に架かる兜橋(「阿武隈川〜段田原峠〜丸森〜相馬」地図A)の上に立った。




 上流(南)。




 下流(北)。
 川沿いは竹の秋。




 橋の東側には阿武隈急行線「兜」駅がある。
 何か古戦場を思わせる名前である。

 阿武隈急行
 http://www.abukyu.co.jp




 伊達市梁川と宮城県丸森町の境には、阿武隈川の両岸に奇岩があり、名勝地となっている。
 写真手前が「猿跳岩」(「阿武隈川〜段田原峠〜丸森〜相馬」地図B)で、対岸は「潜り岩」。

 「猿跳岩」は、その昔、猿が群れを成して両岸を飛び越え、阿武隈川を行き来したという伝説があることから名が付いたとされる。
 「潜り岩」は、前九年の役(1051〜1062)の時代、天喜5年(1057年)頃、安倍貞任が源義家軍を迎え撃つ際に、この場所で阿武隈川を堰き止め、信達地方(福島盆地)を湖にして敵を防いだと伝えられ、その際この岩(高さ39m)が水に潜ったことから名が付いたとされる。
 堰き止めた水が白石の方にもあふれ越し、その辺りが越河(こすごう)と呼ばれるようになったとか。
 JR東北本線越河駅周辺も冠水したのだろうか…。

 そうした伝説を知ると、福島盆地の中心に佇む信夫山も、湖に浮かぶ島のように思えてくる。

 猿跳岩
 http://www.date-shi.jp/124/post-125.html

 潜り岩と猿跳石・九瀧神社|丸森の巨石伝説
 http://zuiunzi.net/igu/bsrisuto14/70.html




 2014年にはなかったが、川の上を2015年には鯉のぼりが泳いでいた。




 川辺では、親子連れが水遊びを楽しんでいた。




 宮城県丸森町に入ってさらに進む…。
 川向こう(国道349号線沿い)に見える建物は、いなか道の駅「やしまや」。

 いなか道の駅 やしまや
 http://koya8408.com


 この辺りは阿武隈川沿いに孟宗竹の林が多く、「たけのこ街道」とも呼ばれている。
 また柿の産地でもあり、晩秋に民家の軒下を彩る「あんぽ柿」が美味い。






 ★羽出庭大橋の上から。




 ★この辺は川幅が狭くなり、重厚な流れに見える。




 ★阿武隈急行「あぶくま」駅は、宮城県内の最南端駅。




 ★駅敷地内にある「丸森町産業伝承館」のテラスから阿武隈川を見下ろす。

 あぶくま駅から少し戻って、左手の山道を上る。
 すぐに二股の道に分かれるので、「11km丸森町内」の案内標識が差す右の道を上って行く。
 ここからは川と別れて、峠道となる。

 羽出庭地区には十字路があり、そこを左折。
 案内標識はないけど、角に丸森町立丸森小学校「羽出庭分校」の右矢印があるので、その逆に行けば良い。




 ★5分程走ると、右手に奇妙な姿勢の松の巨木があった。
 丸森町の天然記念物に指定される幹回り3.3m の古木「笠松」である。
 樹齢は約400年といわれている。


 そしてさらに5分程進むと、蔵王連峰のビュースポット(「阿武隈川〜段田原峠〜丸森〜相馬」地図C)。




 蔵王連峰が凛として佇んでいた。




 ここの絶景は、まだあまり知られていないと思う。




 こちらまで身が引き締まる美しさ。




 その最高峰、熊野岳山頂1,841mには立ったことがある。

 【第十一回】蔵王 山形・熊野岳と宮城・御釜
 http://onotoshiaki.blogspot.jp/2013/10/blog-post_5887.html


 さて、先へ進もう…。

 このルートの一番高い所が段田原峠である。
 特に案内標識はないので、長い直線で空を目指した目線がやや下がって峠を越え、丸森町内への下り坂となる。
 道なりに行くと、やがて県道101号線とのT字路で一時停止。
 左折して101号線を走った。




 右手に宮城県伊具高等学校を過ぎた先で右折し、県道45号線と交わるのでさらに右折。
 筆甫地区の方向へと進む。
 そのまま45号線を行くと、不動尊公園キャンプ場(「阿武隈川〜段田原峠〜丸森〜相馬」地図D)に通じている。
 2014年は、のぞき見程度に訪れた。




 ★不動尊公園キャンプ場
 http://marumori.jp/spot/fudosoncampjyo/










 ★木立の中にテントが点在。




 ★水遊びやバーベキュー、キャンプで賑わっていた。



 不動尊公園から引き返し、しばらく行くと右手に橋が見えてくる。
 右折して、橋を渡ってすぐのところにある「自然ゆうゆう館天水舎」を過ぎ、道なりに行くと国道113号線に通じている。

 自然ゆうゆう館天水舎
 http://marumori.jp/spot/tensuisya/






 113号との角にある大内特産品直売所(「阿武隈川〜段田原峠〜丸森〜相馬」地図E)で小休止。

 大内活性化センター いきいき交流センター大内|丸森町農業創造センター
 http://marumori-nougyou.jp/農産物直売所/大内活性化センター-いきいき交流センター大内/




 ツバメちゃんが軒下を要塞化しているのだけど、その下にあるトイレの「どなたでもご利用できます」の表示が微笑ましい。



 ここから113号線を東へ行き、北に鹿狼山を感じながら走ると、峠に「うつくしま、ふくしま。ようこそ福島県」の案内標識が立ち、宮城県南部に猫耳のように食い込んでいる相馬郡新地町に入る。
 右手に山を削る建材会社があり、少々埃っぽい道を下る。
 常磐自動車道の下を潜って、時折現れる「相馬港」の案内標識に、海へと近づく期待が高まる…。
 国道6号線との交差点を突っ切って、しばらく行くと、相馬共同火力新地発電所の煙突が見えてくる。
 JR常磐線の上を渡り、2本目の国道6号線「バイパス」も突っ切って、煙突がさらに大きくなってきた。








 2015年は1本目の6号線を右折して南へ進み、「あべ魚店」に立ち寄って宮城県産マコガレイを調達した。
 だが、今年2016年4月21日に寄った際には、店が閉まっていた。
 1月28日に白魚、鮪中おち、刺し盛り、マコガレイ、鱈の頰肉などを買ったのが最後…。

 【第七十一回】相馬松川浦のアサリと丸森町のタケノコ 海山の幸
 http://onotoshiaki.blogspot.jp/2016/04/blog-post_23.html




 ★福島県相馬郡新地町に入り、相馬共同火力新地発電所の横を過ぎる。
 2012年に訪れた際には、この辺りから海に近づくに従って津波被害の爪痕を感じた。

 相馬共同火力新地発電所
 http://www.somakyoka.co.jp/

 【第五十三回】伊達市霊山から相馬市松川浦、そして中村城跡
 http://onotoshiaki.blogspot.jp/2015/11/blog-post_22.html






 ★相馬港へ出て右折、原釜尾浜海水浴場へ向かった。




 ★展望台(「阿武隈川〜段田原峠〜丸森〜相馬」地図F)に上り、周辺の風光を眺めるのがお約束になっていた。




 ★海のない伊達から、夏によく海水浴に訪れた「原釜尾浜海水浴場」。










 ★この場所にはかつては民宿や土産物屋が軒を連ねていたように記憶している…。




 ★2014年はまだ、建物の基礎がむき出しの状態だった。



 そして2015年。












 更地だった所では、嵩上げ工事が始まっていた。
 奥には復興住宅も建設されている。




 その後訪れた時は、原釜尾浜海水浴場展望台の周囲が工事中で登れなかった。
 少しずつだけど、復興が進んでいるのがわかる…。




 昼餉は原釜から松川浦へ行く途中にある食堂「十三や」(「阿武隈川〜段田原峠〜丸森〜相馬」地図G)にて、「ほたて焼き定食」を食べた。




 甘辛いタレをまとった子持ち焼きほたてに、ご飯が進む…。




 食後、干潮時の松川浦を左に見、県道38号線を通って道沿いにあるカネヨ水産に寄った。




 何か乾物を調達したと思う…。

 カネヨ水産
 http://www.kaneyo-suisan.com



 ★2014年は、道の駅「そうま」にも寄った。

 道の駅「そうま」
 https://www.city.soma.fukushima.jp/kanko/mitinoeki.html






 ★東京への土産には「相馬あられ」。
 いつも好評だ。

 昔懐かしの手作り煎餅が並ぶ【相馬市】大江製菓|相双ビューロー
 http://yumesoso.jp/yutadosa/archives/7961.html




 ★駅中にある中澤水産直売店では、よく「水だこ」を買っている。

 中澤水産有限会社
 http://www.nakazawa-suisan.com



 相馬中村城の入り組んだ城下町を西へ抜け、国道115号線で帰路に着いた。




 ★阿武隈山地の新緑が眩しい。




 伊達市霊山に入り、115号線沿いにある「まきばのジャージーアイスクリーム」(「阿武隈川〜段田原峠〜丸森〜相馬」地図H)で、ごまと塩ミルクのダブルのおやつ。

 まきばのジャージー
 http://tabelog.com/fukushima/A0701/A070102/7000033/




 GWの最終日、相変わらずの人気で駐車場は満杯に近く、軒先に行列ができていた。
 115号線から反時計回りで相馬に出かける時には、ここを通り過ぎることが多い…。




 伊達に帰着し、マコガレイの煮付けで晩酌を…。






0 件のコメント:

コメントを投稿